ドラマだとか、アニメではそのときの人物の心境に合わせて音楽が流れる。楽しげな音楽、悲しげな音楽、暗い雰囲気、緊迫感のある曲などバリエーション豊かに。普段の生活でもBGMがあればいいのに、と思う。
例えば、仕事で嫌なことがあって鬱々とした気分の帰り道、涙を誘うような音楽と、ちょうどよく雨なんかが降ってくれたらすごくいいのに。自分に酔えそう。それなのに現実は、私がどんなに悲しくて必死に涙をこらえていても、信号の「パッポーパッポー」のような気の抜けた音や車のクラクションが聞こえてくる。そうじゃないのに！
世界は私に合わせてくれない。だって私は世界の主人公じゃないから。
スポーツの番組を見ていると、名場面集、として選手のかっこいい場面が編集されていることがある。勢いのある音楽にのせて、リズムよく場面が切り替わり、タイミングよく効果音も入ってる。私はそういう総集編はけっこう好き。だけどよく考えたら、かっこいい瞬間ひとつのために、特にかっこよくない時間が膨大にあるはず。些細なミスをする場面も、中だるみする時間もあるはず。当然、BGMもないし、都合よくカットすることもできない。選手達は長い時間集中力が切れないように努力し、奇跡みたいな瞬間を待つ。そういったことを思い出すと、「わーい名場面集だぁ。かっこいい」なんてありがたがっている自分を申し訳なく感じる。おいしいとこだけ見てしまってすみません、みたいな。
人生も同じことよね。とんでもなくつまらない時間や辛い修行時間を都合よくカットして、楽しいところだけ味わうなんてできない。今日の努力がないと明日の成功もない。
勉強しないと試験にも合格しない。勉強頑張ろう。ああー勉強に集中できるいい曲ないかなぁ。
