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バッタを倒しにアフリカへ、の感想

前野・ウルド・浩太郎さんの「バッタを倒しにアフリカへ」を読みました。

 

✳︎以下、内容に関する記述があります。

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・子供の頃から「バッタに食べられたい」という夢を持ったバッタ博士が、アフリカで大発生し農作物を食い散らかすサバクトビバッタの防除技術を開発するため、モータリアで四苦八苦するお話。

難しい内容は特になく、博士になることがどれだけ大変か、現地でのフィールドワークでのドタバタ劇、現地の人々との愉快で熱いやりとりなど、とても面白かった。(もちろん、大漁のバッタの写真があるので、昆虫苦手な人は辛いかな?)

 

・研究者として安定の収入を得るまでには大変な道のりがあることを知った。なんとなく厳しいんだろうな、くらいの感覚だったけど、前野さんは実際に無収入に陥るまで追い込まれていた。

日本の、研究者への支援はそんなにたくさんあるわけじゃないのね。どれもこれも期限つき、成果をださねばならない。もちろん当たり前のことだけど、研究って短期間で結果がでるものではないものね。特に前野さんの研究対象は自然界で生き抜く生物なわけで、当然予定通りに行くわけもない。毎年必ず大発生するとは限らないし、たまたま発生しない1年だったら支援は打ち切られて研究できなくなってしまう。前野さんは実際、それで無収入になったわけだし。

でも、そのときの研究所の所長、ババ所長の言葉が染みる。「つらいときこそ自分より恵まれていない人を見て、自分がいかに恵まれているかに感謝するんだ」

 

・一番すごいのは、やっぱり無収入になっても研究を続けた前野さんだと思う。きっとものすごいプレッシャーだったろうな。それだけ追い込まれても「バッタの研究をしたい」と思えたならそれは本物の気持ちなんだろう。幸い、私はそこまで追い込まれたことはなく、ぬくぬくと生活しているので、そのときの前野さんの気持ちを理解することはできない。

そして、文章から察するに、前野さんは明るくて人懐っこい性格のような気がするので、周りの人にたくさん助けてもらえたんだと思う。

 

・最後のほうに前野さんが緑色の全身タイツに身を包み、バッタの大群の前に躍り出る様子が写真で載ってるんだけど…。シュールすぎでしょ!バッタに食べられたい、という夢を叶えるためなんだろうけど。大体、麻とか植物性の繊維で作られた洋服じゃないとバッタは食べないんじゃないの?と思ったり笑

 

文体が明るくて、体験を面白おかしく綴ってあるから、とても読みやすかった。他の著書も読んでみたいと思います。

 

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

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